HARICOMの金属検出技術(動作原理)における渦電流と波形解析の関係性について
- HARICOM STAFF
- 8月20日
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HARICOMの金属検出技術における渦電流と波形解析の関係性について
渦電流方式と当社技術の位置付け
金属検出装置に関して「渦電流方式でないのでは?」というご質問をいただくことがあります。
結論から申し上げますと、HARICOMが採用している方式は、電磁誘導方式、いわゆる交流磁界方式に分類されるものであり、その過程で確かに渦電流は発生しており、検出に寄与する物理現象のひとつです。
ただし、当社の技術的なアプローチは、従来の方式定義を踏襲しつつも、その検出信号の取得・処理方法において、独自の高度な波形解析技術を導入している点に特徴があります。
電磁誘導方式における渦電流の役割
電磁誘導方式の金属検出は、以下の原理に基づいています:
送信コイルに高周波交流電流を流すことにより、磁界が形成される
検査対象がこの磁界を通過する
対象物に金属異物が含まれている場合、磁界に乱れが生じる
この乱れが受信コイルで波形として検出され、信号として認識される
このとき、
磁性金属は直接磁界を乱す性質を持ち、
非磁性金属(アルミニウムやステンレスなど)は、誘導起電力により金属内部に渦電流が発生し、その二次的効果として磁界を変調することで、間接的に波形の乱れを生じさせます。
したがって、渦電流は金属検出の過程において重要な要素であり、当社の装置でもその現象が検出結果に寄与していることに疑いはありません。
HARICOMの独自性:波形の乱れに着目した検出技術
HARICOMの金属検出機が特に重視しているのは、渦電流が生じたかどうかではなく、その結果として観測される波形の乱れが、どのような特徴を持つかに着目し、これをもとに異物の有無を的確に判断することです。
そのために、以下のような技術的アプローチを採用しています:
多チャンネル分割検出技術:検出領域を複数に分割することで、異物の位置特定精度を向上。
リアルタイムデジタル波形処理:乱れの微細な傾向を捉え、定量的に評価するための信号処理エンジンを内蔵。
高いノイズ除去能力:工場環境における振動ノイズや電磁干渉を最小化するシールド構造と回路設計。
これらの総合技術により、HARICOMは単に渦電流の存在を検出するのではなく、それに伴う波形の挙動を情報として読み取り、より高精度な異物検出を実現しています。
なぜ従来の「渦電流方式」では伝えきれないのか
「渦電流方式」という用語は、その発生現象を示すものであり、検出のアルゴリズムや信号処理の深度までは含みません。HARICOMの検出機は、その波形変動に着目し、検出対象の通過によって生じる信号変化を捉え、それをもとに設定されたしきい値との比較により検出の判断を行うことを目的としています。
これは、従来の「渦電流方式」という単語が持つ定義の範囲を超えた、より高度な情報処理を介した金属検出方式と位置づけることができます。
HARICOMは「渦電流を含むが、波形を視る」技術である
HARICOMの金属検出機は、渦電流を原理とした電磁誘導方式に準拠した装置ですから、方式としては世界標準の電磁誘導方式(渦電流方式)です。しかし、その技術をベースに、独自の波形解析技術を融合した次世代の金属探知機であるとお答えいたします。私たちは渦電流そのものを単純に検出するのではなく、それによって生じた波形の乱れを検出対象とし、適切なしきい値設定のもとで異物混入の有無を判別することに注力しています。このようなアプローチにより、磁性・非磁性を問わず、また製品形状や通過位置に左右されにくい安定した検出を実現しています。
今後、ITやAI技術の進展により、波形情報をより高度に活用した異物検出が進んでいくことが期待されています。HARICOMでは、その時代に先んじるかたちで、波形解析に着目した製品開発を継続しており、これからの進化に向けた基盤づくりを着実に進めています。HARICOMは今後、波形ベースの金属検出における新たな可能性を拓く存在として、品質管理の未来に貢献してまいります。

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